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米国商標実務 商品・役務の表示

米国商標法における商品・役務の表示についての解説です。

日本や欧州とは異なる表示
米国の商品・役務の表示(Indication)方法は、日本や欧州の包括的な表示方法とは大きく異なっていて、一言でいうと個別具体的な表示が必要とされています。米国で商標登録を取得するためには、最終的には、ID Manualに沿って表示を合わせ、中間処理では米国商標審査官の指示に従った補正が必要になることが多いと思われます。このような米国独自の表示は、長年の米国商標実務を経て確立されてきた背景があり、ニース協定の加入により、国際分類が導入された後も、米国独自の商品・役務の表示形式に大幅な変更はなく、従来から米国分類(1〜107)が補助的な分類となり、国際分類の方が主たる分類とされ、区分の数の概念の国際化が保守的な米国にも浸透したようになっています。

米国の商品・役務表示例

IC 032. US 045 046 048. G & S: Non-alcoholic beverages, namely, soft drinks; and syrups and concentrates for making beverages, namely, soft drinks.
IC 036. US 100 101 102. G & S: financing the purchase and leasing of motor vehicles; underwriting and administering insurance agreements, warranty programs, prepaid maintenance agreements, and debt cancellation agreements, all related to motor vehicles; financing inventory and other capital expenditures of dealerships and the purchase, construction and refinancing of automobile dealership property; banking services including credit cards, unsecured lines of credit, deposit products, cash management services and real and personal property secured extensions of credit.
IC 038. US 100 101 104. G & S: Communication services namely, providing wireless access to global communications networks; telecommunication consulting services.
IC 009. US 021 023 026 036 038. G & S: ELECTRICAL AND SCIENTIFIC APPARATUS, NAMELY, PRERECORDED VIDEO CASSETTES AND PRERECORDED COMPACT DISCS FEATURING CURRENT EVENTS AND GENERAL INFORMATION IN THE FIELD OF POLITICS AND ENTERTAINMENT, BINOCULARS, CALCULATORS, CAMERAS AND CAMERA CASES, DECORATIVE REFRIGERATOR MAGNETS, MAGNIFYING GLASSES, MOUSE PADS, RADIOS AND SUNGLASSES.

上記の各連邦商標登録は、米国特許商標庁のデータベース(http://www.uspto.gov/main/search.html)から抽出したものです。"apparatus"や"device" "services"などの包括的記載になっている用語は、"namely,"で始まるような個々具体的な表示が必須となります。ICに続く数値は、国際分類の区分番号で、USの後の数字は米国分類の番号です。

米国の商品・役務区分と類似(confusingly similar)
米国の商標実務では、日本の商標実務の如き類似群コードのような便利なものはなく、商品同士が類似か否か、役務同士が類似か否かは、TTAB(Trademark Trial and Appeal Board)の審決集を参照することで、ある程度調査することが可能です。国際分類の区分が同じでなくとも、類似と判断される例は珍しいことではなく、米国分類でも同様に、分類番号が異なっていても類似と判断される例は数多くあります。

類似/非類似の審決例

製品・役務比較例類似/非類似Citation
Computer maintenance servicesComputer software development services類似74619936
Computer maintenance servicesInternet Advertizing services非類似92028748
Consulting services, financialReal estate services類似1187:15−OG
Filter, fuelDoor handles, vehicle類似74566982
Filter, fuelSoap, hand非類似74566982
CamerasLenses類似53:433-PQ
CamerasComputer Software, application design非類似1192:21-OG
CamerasTelephones, cellular類似76449120
”Products Comparison Manual for Trademark Users”(BNA,2008)より抜粋

米国の表示マニュアルからのお知らせ
このような分類や商品・役務の表示についてのちょっとした虎の巻に該当するのが、ID Manual Noticeです。例えば、1998年9月17日のNoticeによれば、ソフトウエアの起動、修理のサービスは42類ですが、コンピュータの部品の物理的な修理サービスは37類になります。また、エンターテイメント用ビデオの作成は41類ですが、他人のビデオテープなどのメディアを分配するサービスは35類になります。コンサルティングサービスは一般的に42類になりますが、ビジネス管理のコンサルティングサービスは35類で、金融や保険のコンサルティングサービスは36類です。記録されたCD=ROMなどは9類になりますが、ダウンロードされるソフトウエアは役務と考えられて42類に分類されます。また、ダウンロードされる雑誌や本も役務と考えられ、42類に分類されます。医療用の温度計は10類に分類されますが、その他の用途の温度計は9類に分類されます。

米国の商品・役務表示のメンテナンス
米国の商標実務では、使用主義を貫いていることから、各チェックポイント(5−6yrと更新時)でそれぞれ宣誓書を提出し、使用証明として証拠を提出する必要があります。この使用証明は区分ごとに1つ提出しておけば良いのですが、登録対象となっている全部の商品、役務について使用していない場合には、フロードがあるものとして取消になることがあります(Medinol事件、但しBose事件により破棄)。
従いまして、無効を未然に防ぐためには、使用していない商品や役務を指定商品・指定役務の表示から削除する必要があり、各チェックポイント(5−6yrと更新時)でこのような使用していない商品を削除して権利を維持して行くことが必要になります。